続いては都道府県事務所・市税事務所への提出です。
東京都のように、場所に寄ってはどちらか片方へ提出すれば良いところもありますので、自治体の指示に従って下さい。
確実な方法としては、市税事務所へ行き、〇〇県税事務所へも提出が必要ですか?と聞いてみましょう。
要不要を教えてくれます。
市税事務所への届け出は、法人市民税を支払うためです。
都道府県事務所への届け出は、法人道府県民税・法人事業税・地方法人特別税を支払うためです。
(※地方法人特別税は平成31年10月1日の消費税増税とともに廃止予定です。あくまで予定。)
それでは手順を見ていきましょう。
- 法人設立・事務所等開設申告書をダウンロードし記入・押印する
- 必要な提出物を整える
- 管轄の市税事務所へ行く
- 提出し、控えをもらう
- 管轄の都道府県事務所へ行く
- 提出し、控えをもらう
手続きとしては以上で完了です。
手続きの簡素さとは裏腹に、納める税金の計算はとっても煩雑です。
文末に、先ほどの
- 法人市民税・法人道府県民税・法人事業税・地方法人特別税とは何か?
- それぞれの税率は?
- いつ支払いが必要なの?
を解説します。
急ぎの人は後でも良いので読んで下さいね。
半年後の申請が必要なものもあるので、忘れないように。
それではいってみましょう!
法人設立・事務所等開設申告書をダウンロードし記入・押印する
管轄の都道府県・市区町村のHPで”法人設立・事務所等開設申告書”と検索すると、該当の書類がダウンロード出来ると思います。
検索エンジンで”法人設立・事務所等開設申告書 ○○市”などで検索したほうが早いかも知れません。
ダウンロード出来たら、必要事項を記入して押印しましょう。
あ、控えが書式に入っていない場合があるので、そのときは2部印刷するのを忘れずに!
必要な提出物を整える
提出物は以下のとおりです。
- 法人設立・事務所等開設申告書
- 登記簿謄本
- 定款の写し
- 株主名簿
その他、各都道府県・市区町村が指定しているものがある場合があります。
HPで確認してくださいね。
定款や株主名簿が必要のないところもあります。
管轄の市税事務所・都道府県事務所へ行く
市税事務所・都道府県事務所へ赴きましょう。
管轄はきっちり調べてから行くこと。
町名が同じでも、丁目で管轄が分かれたりします。
近いところかと思いきや、管轄エリアが違います、なんてこともあります。
提出し、控えをもらう
新設法人の受付窓口で提出するだけでOKです。書類や添付書類に不備がなければすぐに手続きは終わります。
必ず控えをもらうようにしましょうね。
以上で手続きは完了です!
それでは続いて社会保険事務所へ行きましょう。
STEP8-3へ!
法人市民税・法人道府県民税・法人事業税・地方法人特別税とは何か?
さてさて、ここからがちょっと煩雑な話となります。
とはいえ、難しいことはなんにもありません。ただひたすらに面倒なだけです!(笑)
それでは順に見ていきましょう。
法人市民税とは
法人市民税は市区町村に対して納める税金です。
計算方法は2つあり、その合算が支払う税金となります。
計算方法1)法人税割:法人税(STEP8-1参照)を課税標準として、税率をかけて計算
計算方法2)均等割:資本金等の額と従業者数の合計により、9段階の税額で計算(※市によって多少異なります)
簡単に言えば、1)が変動分、2)が段階式固定分です。
法人市民税=法人税額×法人税割(率)+均等割額
法人税がゼロ円なら1)もゼロ円ですが、2)は関係なく固定でかかってくる、というわけですね。
法人道府県民税とは
法人道府県民税は都道府県に対して納める税金です。
計算方法は法人市民税と同様に法人税割+均等割です。
法人道府県民税=法人税額×法人税割(率)+均等割額
税率は法人市民税とは異なりますのでご注意を。
また、道府県ごとにも違います。詳しくは、管轄の道府県税事務所のホームページで確認して下さい。
なぜ「道府県民税」と記載しているかと言いますと、東京都は都税と市税がセットになっているためです。
主税局というところへまとめて収める形になります。
法人事業税とは
法人事業税は、事業所得に対してかけられる税金です。
法人事業税率が都道府県別に設定されており、所得額に乗じて算出されます。
法人事業税 = 事業所得 × 法人事業税率
法人事業税は損金算入が可能です。
なぜ法人事業税だけ?と疑問がわきますよね。
法人税等は国税で、「所得」に対しての課税です。
しかし法人事業税は地方税で、「所得」ではなく「事業」そのものに対して課税をしており、応益負担という考えに基づいています。
そのため、会社からすると事業に対してかけられている税金(費用)なので損金に算入出来る、ということになります(なんとなく分かりますかね?)
地方法人特別税とは
地方法人特別税は、税収の格差を均すために作られた制度です。
管轄としては国税なのですが、法人事業税とともに都道府県事務所へ納めることになります。
地方法人特別税=基準法人所得割額(基準法人収入割額)×税率
基準法人所得割額(基準法人収入割額)とは、標準税率により計算した法人事業税(所得割・収入割)の税額です。
なお冒頭にも述べましたが、平成31年10月1日廃止予定です。
と言っても、実質的なところで言えば、企業の負担は殆ど変わりません。
もともと地方法人特別税が出来たときに、法人事業税が減額されています(分離、という表現でした)。
そのため実質的に企業の負担はさほど変わりませんでした。
今回地方法人特別税が撤廃されるにあたり、法人事業税が従来の水準に戻る(復元、と表現されています)とされています。
そのため支払う税金に大差はないということですね。
それぞれの税率は?
詳しい税率表は、年々変化しているのが実情です。
それが煩雑・面倒とお話した理由です。
下記のリンクからそれぞれの税率が確認できます(総務省HPより)。
毎年更新されていますので、確認してみてくださいね。
ここからダウンロード
地方法人特別税の税率は、43.2%~414.2%まで。
ほとんどの方は43.2%に該当すると思います。(414.2%は外形標準課税適用法人のみです)
いつ支払いが必要なの?
法人市民税:1年に1度
※ただし、法人税において中間申告をする場合は、法人市民税も中間申告が必要。
半期または通期を経過した日から2か月以内に、申告書を市税事務所に提出
道府県民税:法人市民税に同じ
法人事業税:法人市民税に同じ
地方法人特別税:法人市民税に同じ
ということで、みな基本的には法人税の納付と同じタイミングで支払う、と覚えていただければ大丈夫ですね。
まとめ
細かな税率が定められていますが、必要なのは自社の管轄する都道府県市区町村がどのような税率なのか?です。
そこさえ押さえておけば、あまり難しくはありません。
一度是非自身で計算してみて下さい。
また、事業所が複数の都道府県市区町村にまたがる場合は、按分計算が必要になりますのでご注意ください。
最後までお読み頂きありがとうございます。
それでは社保の届け出へお進み下さい!
STEP8-3へ!