さて、改めてこの言葉を述べさせていただきます。
ようこそ社長の世界へ!
ここまでの手続きはいかがでしたか?色々大変な手続きや不慣れなことが多かったと思います。
ただ、これからが楽しくて大変な世界の始まりです。
不慣れなことは山程出てきます。
誰かに依頼するのも手ですが、社長の仕事だけやっていても、社長にはなれないと僕は思っています。
必ず一度は自分でやったことじゃないと、誰かに任せても、その人が適切な動きをしているか判断できませんよね。
だからこそ、会社の設立も自分でやってみるべきだと思うのです。
システム開発のように決して難しい専門知識が必要なのではなく、単なる煩雑な作業の繰り返しですから。
会社設立まるっとおまかせ!といったサービスを活用すると確かに早いのですが、利用するのは2回目からで良いと思います。
さてさて、会社設立の手順も最後となりました。
会社を新規設立したことを、関係各所へ届け出る必要があります。
具体的には、下記の5箇所です。
- 税務署
- 都道府県事務所・市税事務所
- 社会保険(年金)事務所
- 労働局
- ハローワーク
以上へ届け出を行えば、一通りの手続きは完了です。
事業を行う上でのSTEPはまだまだ控えていますので、
設立のSTEPはぱっと終わらせてしまいましょう!
それではまず今回は税務署の提出書類を見ていきましょう。
税務署への提出(6種)
まずは税務署からです。
税務署には以下の6種類を提出します。
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 棚卸資産の評価方法の届出書(任意)
- 減価償却資産の償却方法の届出書(任意)
順番に解説していきます。
法人設立届出書
その名の通り、法人が設立したことを届け出るものです。
これによって納税に関する書類等が送られてくるようになります。
期限:法人設立の日(設立登記の日)以後2月以内
添付書類:定款、登記簿謄本、株主名簿、設立時における貸借対照表、設立趣意書(あれば)
ここではじめての書類。
設立時における貸借対照表?なにそれ?
貸借対照表(通称B/S)については、今は分からなくても大丈夫です。後々勉強していきましょう。
一般的な資本金を払い込んでの会社設立時は、現預金と資本金だけが記載されたものになります。
例えば、株式会社ダイコーが資本金300万円で設立した場合。
株式会社ダイコー
設立時貸借対照表
平成○○年○○⽉○○⽇ (提出⽇)
資産の部 | 金額 | 負債の部 | 金額 |
現金及び預金 | 3,000,000円 | 資本金 | 3,000,000円 |
合計 | 3,000,000円 | 合計 | 3,000,000円 |
これでOKです。
他の書類はこれまで作成したものなので大丈夫ですね。
法人設立届出書は、提出用と控えと2部作って持っていきましょう。
国税庁のHPに手続書類がありますのでダウンロードして記入して下さい。(以下みな同じようにダウンロード出来ます)
ここからダウンロード
青色申告の承認申請書
青色申告を認めてもらうための申請書です。
青色申告とは、簡単にいうと税制面での優遇措置を受けられる制度です。
もうひとつに白色申告がありますが、2018年現在においては白色申告と比較してもメリットしかありません。
詳しくは別ページで解説します。
後々で提出するのも二度手間なので、最初に提出しておくと良いです。
期限:設立後3ヶ月以内
これも提出用と控えと2部用意して下さい。
ここからダウンロード
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
従業員・アルバイトを雇う場合、会社が源泉所得税の預かり(天引き)と納付(特別徴収という制度です)を行うことが多いです。
そのため、給与支払事務所としての届出が必要となります。
ちなみに、会社が天引きせずに従業員本人が納める納付方法を普通徴収と言います。
現状は特別徴収が一般的です。(ややこしい)
2018年現在では、特別徴収を義務付ける市区町村も増えてきました。
アルバイト雇うタイミングで出すもの面倒ですので、最初に出しておきましょう。
期限:開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
あ、2部作成するのを忘れずに。
ここからダウンロード
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
上述の源泉所得税ですが、「月末締め翌月10日納付」が原則です。
しかし、開設したばかりの会社や中小零細企業では、源泉所得税の納付を毎月納めるとなるとキャッシュフローの悪化や、事務手続きの時間とコストがかかり、負担が増えてしまいます。
そのため、「通常は1ヶ月に1回だけど、半年に1回でいいよ」というのが納期の特例です。
期限:なし(適用は、届け出をした月の翌月から)
条件:給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者
これも当然2部作成です。
ここからダウンロード
棚卸資産の評価方法の届出書
※この書類は必須ではありません※
棚卸資産の評価方法を選定して届け出る場合に必要です。
届け出をしない限り、最終仕入原価法が適用されます。
期限:1期目終了まで
評価方法は大別して7種類があります。上場企業などは低下法という方法が強制適用されます。
詳しくは別で解説しますね。
棚卸資産の評価の仕方によって会計が大きく変わるような業態の方は、自社にあった評価方法を選んで提出しましょう。
ここからダウンロード
減価償却資産の償却方法の届出書(任意)
※この書類は必須ではありません※
減価償却の方法を選定して届け出る場合に必要です。
定額法と定率法の2種類があります。
定額法:減価償却費=取得価額×耐用年数別の償却率
定率法:減価償却費=前期末(最初は取得時)の帳簿価額×耐用年数別の償却率
定率法は最初の償却額が大きくなり、年々償却額が少なくなります。
定額法は常に一定の償却額です。
資産の状況や性質に応じて決めると良いでしょう。
わかりにくければ、定額法を設定しておくと計算はしやすくなります。
期限:1期目終了まで
ここからダウンロード
提出にいこう
書類が整ったら提出に行きましょう。
まず管轄の税務署を調べます。
印鑑も忘れずに持っていきましょう。
税務署に着いたら、新設法人の手続き窓口を探し、尋ねてください。
提出すれば提出用と控えに受付印を押してくれます。窓口の方は慣れているので、時間は1~2分で終わります。
控えを受け取れば、無事完了です!
まとめ
税務署だけでも結構な数の書類ですね。
しかし、ひとつひとつにちゃんと意味があります。
投げ出さずに一つずつ理解していきましょう。
後々に経理を行う際、この経験が必ず役立ちます。
それでは次は都道府県事務所・市税事務所の手続きです。
STEP8-2へ!